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白い指

【作詞】井澤良恵
【作曲】中川速男
【MIDI製作協力】マルちゃん

暗く閉ざされた坑道
瞳だけが動く
ポケットから煙草がわりに
取り出す飴一つ
よみがえる甘さ
時を刻んだ日々

地の底 隠す山並み
なだらかな日々の暮らし
ピックの叫びは届かない
シャツにしみる汗と炭
土に埋もれた友
心刻む日々

白く凍る指
それは痛みに変わる
腕は重い荷物になる
輝いた日々は闇の中
よみがえる誇り
体を刻む罪


うたごえ新聞 第2126号(2008年9月15日号)の「紹介曲」より
ピックは、石炭を掘り出すための小型の振動工具です。

白蝋病(vibration induced white finger)は、体が冷え込む時に手指の皮膚の色が白蝋のように白くなり感覚が失せてしまう職業病です。
日本では1955年に林業にチェーンソーが導入されて、山林労働者での深刻な労働災害広がっています。
世界では、20世紀初めにイタリアの石材切り出し労働者が削岩機を使っていて、この症状が出ています。

それまで、ハンマーとのみ、つるはしといった手工具から、生産性の向上で機械化がすすみ、手持ち動力工具の導入によりこのような振動障害が発生してきているのですね。

以上を前提に、作詞の井澤良恵さんに、この曲のモチーフを語っていただきました。
1番から3番まで「刻む」という言葉を使っていますが、
1番の「刻む」は甘くなつかしい時間をすごしたという意味。
2番の「刻む」は心を壊す苦しみの意味です。
3番の「刻む」は身体を壊す意味で使いましたが、「罪」とは2つの意味を考えました。
ひとつは、人間は自分の身体を毎日使って生きていますが、その身体を自分の傲慢さから時として酷使してしまう。身体を病気にした罪は自分にもあります。
しかし、もうひとつのもっと大きな罪、それは儲けのために人間の身体を犠牲にする大企業の体質です。
さしずめ「アメリカ帝国主義!」「三井独占!」と叫びたいところです。 炭坑で働いた人たちは自分の会社を誇りに思っているし、自分の腕1本で稼いだ日々も誇りに思っています。
その見返りが振動障害という一生治らぬ病気でした。

JASRAC情報はありません

製作日誌:
平成20年9月14日 歌詞のみ
平成20年9月25日 MIDIをアップ。
うた新掲載の楽譜は、12/8拍子ですが、MIDIでは、4/4拍子のShuffleにしてます。
要するに、八分音符3つを、三連符にしています。
XG Worksというシーケンサーソフトを使っていますが、12/8拍子というパターンがないため、このような手法にしてます。
きずな」などでも、このようなやり方をやってます。
平成20年10月3日 作詞の井澤良恵さんからこの曲の背景についてご説明をいただきました。