別れ

【原曲】ドイツ民謡 Swabian Folk Song, 1825

【訳詞1】岡本敏明

さらばさらば わが友 しばしの別れぞ今は
さらばさらば わが友 しばしの別れぞ今は
巳は離れ行くとも 心は一つ
いつの日か また会い見ん さきくませ わが友

さらばさらば わが友ばしの別れぞ 今は
さらばさらば わが友ばしの別れぞ 今は
声高く歌えや 別れの歌を
いつの日か また会い見ん さきくませ わが友

【訳詞2】山本学治(東大音感合唱研究会)

遠い町へ今日旅立つ 旅立つおまえをのこし
戻ってきたら真先に 真先におまえに逢おう
いつもそばにいられたらどんなに楽しかろう
戻ってさたら真先に 真先におまえに逢おう

わたしの門出をおまえは おまえはなぜそう嘆く
されいな娘見たとて 見たとて浮気はしない
心は変らぬにどうして嘆く
きれいな娘見たとて 見たとて浮気はしない

葡萄みのる頃かならず かならず戻ってこよう
おまえが待っててくれたら くれたら一緒になろう
やがて年期があけて二人の時がくる
おまえが待っててくれたら くれたら一緒になろう

やさしの山吹

【訳詞3】三輪義方(明治34年「女学唱歌(二)」

清き水に 枝ひじて 花咲く 山吹あれ
色香深く 八重匂う やさしの姿やあれ
 吹く風にゆられて 露はみだれ
 寄する波に 影さわぐ
 すめるは かわずの声

【英訳】

Must I Then

Must I then, Must I then to the city go away
must I got away, and you my love, stay here?
I'll return, I'll return, oh, yes soon I will return,
and when I return, I will stay with you, my dear.

Can I stay instead, remain with you, for you always bring me cheer?
I'll return, I'll return, oh, yes here I'll return,
here I'll return, and I'll stay with you, my dear

【原詩】

Abschied

muss i denn, muss i denn
Zum Staedtele naus, Staedtele naus,
Und du, mein Schatz, bleibst hier!
Wenn i komm, wenn i komm,
Wenn i wiederum komm, wirdrum komm,
Kehr i ein, main Schatz, bei dir.
Kann igleich net allweil bei dir sein,
Kann i doch mein Freud' an dir,
Wenn i komm, wenn i komm,
Wenn i wiederum komm, wirderum komm,
Kehr i ein, mein Schatz, bei dir!

Wie du weinst, wie du weinst,
Dass i wandere muss, wadere muss,
Wie wenn d'Lieb jetzt war vorbei,
Sind au drauss, sind au drauss
Der Maedele wiel, Maedele viel
Lieber Schatz, i bleib dir treu.
Denk du net wenn iein andre seh,
No sei mein Lieb vorbei
Sind au drauss, sind ay drauss
Der Maedele viel, Maedele viel
Lieber Schatz, i bleib dir treu

Uebers Jahr, uebers Jahr
Wenn me Traeubele schenid't, traeubele schneid't
Stell i hier mi wiedrum ein
Bin i dann, bin i dann
Dein Schaetzele noch, schaetzele noch
So soll dje Hochzeit sein.
Ueber Jahr, da sit mein Zeit vorbei
Da g'hoer i mein und dein
Bin i dann, bin i dann
Dei Schaetzele noch shcaetzele noch,
So soll die Hochzeit sein


日本でも江戸時代には、お伊勢参りなど旅行が盛んになります。
ドイツでは、ゲルマン民族の大移動に期限があるわけでもないですけど、とにかく旅行が好きです。
そのルーツは、ギルド制度にあるとも言われてます。
いわゆる親方・徒弟制度ですけど、若者が各地の親方のもとを修行して歩くというのが一般的だったんですね。

ギルドというのは、商工業の業種ごとの組合ですが、特に手に技術をつける手工業ギルド(ツンフトZunft)は、技術を学ぶために修行が必要でした。
ある技術で生計を立ててゆこう、と思ったら、その職種ギルド(たとえば、歌手になりたい、ということでしたら、シングシューレSingschuleでマイスタージンガーMeistersingerを目指す)に入らねばならないわけです。非常に閉鎖的な世界でしたが、一旦入ってしまったら、諸権利は確保されえました。でも、特権的な親方になるのは、至難の業で、若者も、今日的な正社員(親方)への道は険しかったようです。

JASRAC情報
製作日誌:
平成20年6月22日 歌詞のみ
この曲も「久しき昔」のように、いろいろな訳があるのですね。
そもそも、この曲と「思い出」は混同をしておりました。
岡本訳は昭和42年の「新しい学生歌集」
山本訳はともしび「うたの世界533」(東大音感についてはみどりの歌集)
「やさしの山吹」は「日本のうた(一)」から
英訳は"International Folk Songs"
原詩は「日本語と原語でうたう世界の名歌」より
平成20年6月25日 MIDIをアップ