うた

【作詞】佐藤信
【作曲】林光

1.うたはどこでおぼえた
  半分ねむりながらおぼえた
  かあさんの声が夢の戸口をあける
  くぐり戸のむこう明るい景色がみえた
   坊やのおもりはどこへいった
   あの山越えて里越えて

2.うたはどこでおぼえた
  教科書ひらいておぼえた
  見知らぬ場所を風が吹いてゆく
  黒板の地図をかきうつす船乗りたち
   なじかはしらねど心わびて
   むかしのつたえぞ そぞろみにしむ

3.うたはどこでおぼえた
  あいつ待ちながらおぼえた
  街は雨にぬれてアイスクリームがとける
  くわえたさじがとほうにくれてにがい
   だからだからだからだからもう
   恋なんかしたくないしたくないのさ

4.うたはどこでおぼえた
  涙流しておぼえた
  悲しみではなく催涙ガスのせいで
  ほほえむ死者はまだとむらうなと告げた
   砦の上にわれらの世界
   きづきかためよいさましく

  うたはどこでおぼえた 立ったままでおぼえた
  うたはどこでおぼえた 走りながらおぼえた
  うたはどこでおぼえた 石を投げながらおぼえた
  うたはどこでおぼえた たたかいを知っておぼえた

  うたはどこでおぼえた たたかいを知っておぼえた

  うたはどこでおぼえた たたかいを知っておぼえた


楽しそうな曲でしょう。3拍子の軽快な曲で、歌詞もあっれ、どっかで聞いたような。

でも、歌詞の一部にちょっと違和感があります。催涙ガスが云々とか、石を投げたとか。考え方は同じでも、方法論でちょっと違ってくるンですよね。難しいもんです。
最近の韓国の労働運動を見てますと(報道される限りしかわかりませんが)そういう場面が多いですね。この人たちも「ワル労」を歌っているんだろうか?

三多摩青年合唱団のCD「林光ソングアルバム『自由の木』」に収録されている「うた」のイメージでMIDIをつくりました。

林光の1982年の作品

【H17.6.16】
4番の一節「ほほえむ死者はまだとむらうなと告げた」の背景がよくわかりません。
今朝の朝日の天声人語に「樺光子編『友へ/樺美智子の手紙』」の中に「死者はわれわれを戒める」というベルリンの墓地の記念碑に記されている文章が紹介されていました。
これをヒントに、ネット検索をしましたら。「死者たちは平和のために生きるように警告している」という碑銘のあるベルリン南郊外のハルベ・中央墓地(森の墓地)についての紹介を見つけました。さて

【H17.6.22】
と思ったら、違うようです。
愛知教育大学国際文化コース 南守夫先生からのメールをご紹介します。
その「天声人語」は読んでいませんが、ベルリンの記念碑でそういう意味の碑文を持つものとしては、おそらく、”Die Toten mahnen uns"という碑文で有名な「社会主義者追悼所」(Gedenkstaette der Sozialisten)のことだと推察されます。これは、旧東ベルリンにあって、ローザ・ルクセンブルクやカール・リープクネヒトなどが追悼されている場所として知られています。
 東ドイツ時代は、国家にとって重要な追悼所で、毎年、大規模な追悼式典が催されていました。私も東ドイツに留学していたことがあり、その式典を参観したことがあります。樺美智子の手紙の文脈はわかりませんが 、第一次大戦後の「ドイツ革命」の中で軍によって暗殺されたローザ・ルクセンブルクなどの社会主義者への共感を樺美智子が抱いていたのかもしれません。

JASRAC情報

製作日誌:
平成17年6月2日 歌詞のみ
平成17年6月5日 MIDIを作成。
昨日、一日がかりでCDからの耳コピーをトライしたのですが、かなり難解でした。本日楽譜を送っていただいて照合したところ、正解率は50%以下。ナントも、いい加減な耳であること、改めて痛感しております。
平成17年6月16日 コメント追記
平成17年6月2日 MIDI手直し
ピアノ前奏で弾き方に余韻をプラス。2・3・4番で伴奏パターンを変えてますが、つなぎ目をスムースになるように手直し
平成17年6月23日 コメント追記