海は はてなく

【原曲】アイルランド・バラード
【訳詩】山ノ木竹志

海は はてなく
愛は 深い
わたしに 小舟を
漕ぎ出そう あなたと

小舟は 波間に
恋は 雲間に
たゆたい 彷徨う
二人に 風の音

あなはは 帆を張る
やすらぎ つかの間
嵐に 帆は折れて
恋も 波間に

恋は いつでも
かがやく 宝石
うつろい さめれば
真夏の 朝露

かもめは 飛び交う
切り立つ 山脈(やまなみ)
世界は 変わり
すべては 巡る
すべては 海に



原題 The Water is Wide
祈り」を歌っていたKUMIKO版,「広い河の岸辺」はこちらからどうぞ
楽譜を見比べていただくとかなり違います。
今期のNHK朝の連ドラ「花子とアン」で主人公の花子の幼少期に永和女学園(実際には、エーちゃんちの近所の東洋英和らしいですけど)で英語の宿題をズルして、校長先生から「英語でしゃべってごらん」と言われて、まだABCを覚えたばかりの花子が聞きかじりのこの歌をアカペラで歌ってました。そのメロディはこっちに近いようです。

さて、訳詞者の山ノ木竹志さんは、2009年秋に亡くなられています。
その追悼ともいうべきCDブックに収載されていました。
編曲はあのPete Seeger。
CDブックの解説から
中世にさかのぼるほどの古謡が、人々の暮らしをくぐって愛唱され、生き続けてきた。若い日のPete Seegerは「感傷的なお涙ちょうだい」の歌だと思っていたが、10年後にこの歌に再び出会った。「いつも人間の間に横たわる誤解の海のこと」を考えていたピートは深く心を動かされる。「海に橋を架けることができなければ、この世界を結び合わせることはできない」という想いをこめて「終連」を書き加え、自ら歌い始めたのだった。
私(山ノ木)は、さらに2行ほどつぎたした。「すべては巡る。すべては海に」。うたごえはここで消えてゆくのだけれども、心根は初発の「海」に還り、「漕ぎ出そう あなたと」で終わりたい。やはりこれは、波のうねりに仮託された人生の恋唄なのだから。

JASRAC情報はありません

製作日誌:
平成26年4月16日 歌詞と楽譜
平成26年4月21日 MIDIをアップ